最高のマーケティング
グローバル競争を勝ち抜くには製造部門だけでなく、いまこそ生産性の低い元凶である事務管理部門・管理職の革新が不可欠。
最も遅れ、改革困難で取り残された分野にトヨタ式を応用した実践事例を基に初めて説き明かす
なぜ、ホワイトカラー部門の改善は難しいのか?どこから着手すべきか?トヨタ式には、(1)整理・整頓などの5Sから始めるベンチマーク型、(2)部門の役割・機能を劇的に変えるシステム再構築型の2類型がある。現場戦略・部門戦略のシナリオ展開、「7つのむだ」の徹底的排除、「観える化」、プロセス分析、チェンジリーダーの育成など、具体的に応用する方法を詳説。
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あるメーカーから消費者向けの製品についてマーケティング活動の企画をするようにという依頼を受けた。
製品は全く新しいもので、同じような種類の商品はマーケットにはない。
新しい商品であるだけに、最初のイメージづくりがきわめて重要になる。
さっそくチームを編成して企画の作業を始めた。
メーカーの担当の人たちと会議を重ねていくのだが、こちらがほしいと言っても製品に関する情報をあまりくれない。
消費者向けのファッション商品であるから、商品の分析をしたうえでさまざまな昧つけをしたいのだ。
ところが、どうもその味つけをするという考え方がお気に召さなかったらしい。
「うちの商品は優秀なのだから」の一点張りで、昧つけは必要ないと言う。
資産的価値で売れるのだから、ただ単にセールスの組織をつくればよいのだとの仰せである。
商品の価値は、買って使ってくれる消費者が決めるものだ。
つくった人が勝手に価値を決めても、使う人がそれを認めてくれなければ駄目だ。
価値を認めてもらう努力がマーケティング活動なのである。
商品ができた状態のときにもっている本来の価値に対して、さらに消費者の好みに合った付加価値を創造していくのも、マーケティング活動のもう一つの役割だ。
できたばかりの製品を子供に例えれば、マーケティングは教育である。
子供も、生まれたままでは社会というマーケットに通用しない。
できるだけ人に好かれるよい名前をつけて、「よい子」に育てようと思う。
世の中の流れに沿ったできるだけよい教育を受けさせて、社会で生きていけるようにしてやろう、というのが親の願いである。
「学歴ではない、実力だ」と言っても、親の身になってみれば、それはタテマエであって、できるだけよい学校にいかせてやろうというのがホンネだ。
できるだけハクをつけてやろうと考えるのである。
男の子でもそうだから、女の子の場合は、特に着るものにも気を使い、見た目にもできるだけよく見えるようにする。
商品を買ってもらおうとするときも全く同じである。
まず商品の生まれた背景から始めてストーリーをつくっていく必要がある。
生まれも重要だが、バクづけも重要である。
教育の重要性は誰もが認めるところだから、異論はないはずだ。自分のつくった製品は最高だと自信があっても、人に頭を下げて率直な意見を聞き、
それを製造にフィードバックさせて、よりよい製品をつくっていこうとする謙虚な心がまえが必要だ。
よい製品だからといって寝ころんで待っていては客は来ない。
製品が高性能であろうと高品質であろうと、独占的な地位を占めるのは短い期間だけであって、必ず同じような競合品がマーケットに出てくる。
そこでセールスの力がきわめて重要になってくる。
製品が優秀だということで評判の会社がある。
電子機器を製造しているが、販売は別会社をつくってやっている。
消費者に売り込むまでは最高のサービスをする。
連絡にも神経を使い、こちらが電話をすれば、不在でも短時間のうちに連絡してくる。
しかし、製品を客に納入した後は見違えるようにサービスの質が低下する。
使い始めると予想もしなかった不便なことが起こったり、使い方がわからなかったりという状況が生じる。
マニュアルはあっても、複雑なために素人にはわからない。
専門家に来てくれるようにと何回となく電話をしても駄目だ。
こちらが怒り出す頃になって、初めて見にくる気になるようだ。
ポイントは言っておいたにもかかわらず、やって来た専門家は見当違いの人で、彼の専門の分野ではないから別の専門家を後日よこすと言う。
もちろん、その専門家が来れば即座に問題が解決することが多いのだが、それまでの時間がかかりすぎる。
アフターサービスこそ最高のマーケティングなのだ。
特に、素人には扱うのが難しい製品の場合はそうである。
そのような製品の場合は、製品本体の価格もさることながら設置費用などもかなりの金額になる。
したがって、サービスが悪いからすぐ返品というのも簡単にはできない。
それに、次々とさらに性能のよい製品がマーケットに出てくる。
古い機器を新しい機器に取り換えろと言われ、その気になる。
長期間にわたる、程度の高いアフターサービスを売り物にする必要がなくなってきたのかもしれない。
同じ企業の中で製造部門と販売部門の社員の間に不均衡があってはならない。
また、販売部門の中ではアフターサービス担当に最優秀の社員を配置し、最高給を払ってみるとよい。必ず業績が上がる。
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