中高年・シニア・団塊世代の再就職に必要な3つのマインド
団塊世代よ、老後を甘く見るな。
せまりくる絶望の老後を生きぬくには、横並びの意識を捨て、大切な自分のお金を守ること。
ファイナンシャル・プランナーとしての専門知識、各種サイトからの情報、また取材から得た知識を駆使し、データを添えて説く。
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中高年・シニア・団塊の世代の人達が再就職する際に重要なことが三つあります。
第一は、前の職場のことを言わない。
大企業から中小零細企業に移ると、その職場の規律の低さや施設の悪さなどが目につきます。
それでつい「前の会社では……」「前の職場では……」が出てしまうのです。
また、一人でいろいろなことをしなければならないのにもいらだちます。
例えば、個人事務所などに勤めると、お客に茶を出すのも、帰り際に便所掃除をするのも、大事な仕事になります。
ところが、大企業で部長職や支店長を務めた人には、便所掃除を屈辱と感じる人がいます。
それは屈辱ではなくて、仕事の権限がより多く増えたと考えるほうがいいのです。
大企業から中小零細企業に再就職するときに、
「いや、十分覚悟ができています。私は自分でコピーもとるつもりです」
などと言う人はよくいますが、
「自分で便所掃除をして帰るのは当然ですよ」
と思っている人は少ないようです。
前職と比較しない。
職場で前職のことを言わない。
これは決定的に重要です。
「前の会社ではこうしていた」ということは一切、言ってはいけない。
大組織に染まった人は、前の職場のやり方が非常にいいと思っていて、善意のアドバイスのつもりで「前の会社では……」と言い出すのです。
そもそも前の会社が、今、籍をおくような中小零細企業に下請け発注しているのは、大企業は組織形態として効率が悪くてできないから、より効率的で優秀な仕事のできる中小零細企業に発注しているのです。
つまり、組織形態として見た場合、中小零細企業は効率性において大企業に勝っているのです。
その点を十分理解しなければいけません。
じつは、これは大変に難しいことです。
再就職してから三年も五年も経っているのに、「うちの会社」と言うとき、前職の会社のことを言っている人がじつに多い。
結婚しても「うちの家」と言って実家を指している奥さんもいますが、これも舅や姑さんには不快です。
でも、家庭は少人数だから追い出されずにすみますが、会社で、前職の会社を「うちの会社」と言うと周囲の総スカンを食います。
肝に銘じてください。
第二に重要なことは、職業倫理をはっきりもつということです。
職業倫理とは「今、お金を支払ってくれる人のために全力を尽くす」ことです。
医師なら患者、弁護士なら依頼人、芸能人なら観客、会社員なら「今の勤め先」です。
決して「前の職場の同僚や後輩」ではありません。
例えば、税務署員を辞めて会計士になった人は、会計士報酬を支払ってくれる企業や個人の利益を図るのが正義であって、後輩の税務署員にいい顔をしようと考えてはなりません。
大企業の下請け企業へ行った人の中には、大企業に納める製品を厳しくチェックすることが正義だと思う、あるいは、前職の会社の後輩や関係者を接待するのをいいことだと思う傾向もあります。
これらは「職業倫理の欠如」としか言いようがありません。
職業倫理とは、今、給与をもらっている個人や組織に対して忠実であることです。
仮にプロ野球で、長年ジャイアンツでプレーしていた選手が、今年はタイガースに入った。
そうしたら、当然タイガースに最大の貢献をして、「仇敵」ジャイアンツに勝つようなプレーをするべきでしょう。
弁護士や医師は終身雇用ではありません。
ある日、出会ったばかりの医師に、何よりも大事な命を預ける。
それは、医師である以上は職業倫理として、患者のために全力を上げてくれるに違いないと信じるからできるのです。
弁護士は依頼人の利益を守ってくれると思うから、親にも夫婦の間でも言えないようなことも語れるのです。
ここで急いで断っておかねばならないのは、「お金を支払ってくれる人に忠実」というのは、長期的総合的視点でなければならない、ということです。
例えば、耐震設計の偽装をした建築士の場合、安い工事費の構造設計をして、一見、依頼者の建設会社の利益を図ったように見えますが、結果としては施主のマンション分譲会社も施工者の建設会社も倒産してしまいました。
当の建築士が国会の質疑で答弁したとおり、「仕事を外されるのが怖かった」、つまり自分の利益のために依頼者の損害を考えなかったわけで、職業倫理としても最低です。
サラリーマンも同様で、今、勤めている会社、給与をもらっている組織に忠実でなければいけない。
サラリーマンに限らず、どんな職業についても、今、お金をもらっている相手に忠実でなければいけません。
戦国時代の武将はどんどん主君を替えました。
藤堂高虎などは生涯に8人も主君を替えています。
そんな戦国武将が、ときには城を枕に討ち死にすることもあります。
「忠臣蔵」では47士が討ち入りをしましたが、そのうちの半分以上は、比較的新しく播州・浅野家に仕官した人たちです。
終身雇用でなくとも、給与をもらうと決めた相手にこそ命を懸けて働く、これが正しい職業倫理なのです。
ところが、日本では長い終身雇用制の慣習のため、職業倫理が額廃し、「仲間意識」に取ってかわられてしまいました。
これがさらに今、終身雇用のゆるみとともに仲間意識も揺らいでいるので、非常にいいかげんな状況が至るところに散見されます。
例えば会計監査法人や建築確認法人などの荒廃ぶりほ目を覆うばかりです。
政治の世界でも、情報の真偽を確認しないで偽造電子メールに飛びつく議員が出る体たらくです。
政治家にも、歳費を支払ってくれている納税者(国民)に対する職業倫理が欠如しているのです。
再就職に当たっての第三の大事なことは、「会社にお金を使わせるな」です。
最近、欧米でもファミリー企業の好業績と重要性が強調されるようになっています。
1980年代までの近代工業社会では、所有と経営の分離が近代的と言われ、オーナーのいない巨大株式会社の優位性が説かれたものです。
しかし、80年代の知価革命によって、労働と生産手段の一体化(融合)が進んだ結果、ファミリー企業の優位が目立ってきました。
利益率でも成長率や増加率でも、ファミリー企業のほうが非ファミリーの経営委託型会社を上回っているのです。
その理由として注目されるのが、「ファミリー企業のオーナーたちは会社のお金を自分のお金と思っている」ことが挙げられています。
「人間は、他人のお金を使うときには、自分のお金を使うときほど利巧になれない」ものです。
官公庁や巨大株式会社のお金は他人のお金、だから、誰もが惜しみなく使います。
旅費、交際費、ハイヤー・タクシー代、便箋・封筒、電話・電気料金など気にする者もいない状態です。
しかし、再就職した中小零細企業は概してファミリー型、オーナーないし社長は、会社のお金を自分のお金のように惜しみます。
官公庁や巨大企業の経験者が当たり前のように使う交通費や通信光熱費も、懐に手を入れられる思いで見ているわけです。
再就職すれば迂閥に会社に出費をかけるようなことはやめましょう。
それまでの勤め先の三分の一でも「巨額」と思われ、「費用を垂れ流しするヤツ」と思われる恐れがあります。
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